指導員養成講座・レポートのコメント
指導員養成コース受講生のSSさんから「ねじりのポーズ」と「長座前屈」の報告をいただきました。 ねじりのポーズも前屈のポーズもさまざまなバリエーションがあること指摘されています。試行錯誤のチャレンジは大事だと思います。

「ねじりのポーズ」の特色は背中の緩みを作ることです。
ヨガはストレッチに似ていますが、ストレッチから緩みへ移行することがヨガアサナと思います。ここのところが伝わるようにしてください。
  ねじりは、はじめはタオルを絞るような要領です。この状況は表面がストレッチ、中心近くは絞りです。絞りは丹田強化になります。背筋を伸ばして姿勢を正さないと硬い筋肉を伸ばそうとしていて非効率です。(ブレーキをかけながらアクセルをふかしている状態)。背中を緩めるために「坐骨」の曲面の頂点を探してそこで支えます。微妙な位置です。そうすると腰骨が立って、背筋が伸びます。背中が緩みます。ねじって引っ張ることができます。そして緩むのを待ちます。
「待つ前に」考慮しておきたいのは首です。首を楽に、環椎と軸椎が水平になって軽く動くようにしておきます。そして目を使って(瞬きをして目の緊張を取って)受身で周りを見ていくように(私は近視の訓練をオールダス・ハックスリーなどの本でいっぱいやりました。目は良くならなかったけどリラクセーションを学ぶことができました。)するとねじり角度は大きくなります。
SSさんからねじりのポーズのときは「あごを引く」というのは、いいご指摘でした。
  「長座前屈のポーズ」のことで気がついたことを書いてみます。
体力測定では体が柔らかいか、どうかチェックするのに、この長座前屈をします。柔らかさはこのチェックでは、あまり当てにならないのに、皆さんこれで判定します。これができなくてもコブラのポーズのように、反るのは抜群という人もいるのにです。
それでは前屈の仕組みです。体が前に倒れるというのは股関節から骨盤が前に曲がってその上にある背骨も前に倒れた姿が前屈です。(縦長の箱が股関節から倒れた状態です。)
この動きにブレーキをかけないことです。まずブレーキのひとつ、腿裏のハムストリングス筋です。これは膝を曲げると骨盤は倒れやすくなります。(膝曲げてもイインジャナイカ、というのが私の考えです。いつか膝が伸びるのだから。その前に骨盤が倒れるために、しなければならないことがあるでしょうと。) 次にブレーキをかけているのが首です。ほとんどの人が首を下へ垂らします。その分、背中が硬くなります。(重りを僧帽筋で支えている。)あごを引いて背筋をまっすぐにするのです。そして倒れるのは股関節からです。背中を丸くしないで箱が倒れるごとく、ゆっくりと倒していきます。どちらかというと出っ尻をイメージして腰を緩めます。こんなことすると痛いです。でもこの痛さは緩んでいるから、痛いので、これでいいのです。受け入れる痛さのところで楽しんでください。もう少し緩むかもしれません。そしていつか腿にお腹がつくでしょう。膝を伸ばす(ハムストリングス筋)のはそれからです。楽に、力強く、膝を伸ばすことができます。
倒れる実感を楽しむのには亀のポーズの途中が好きです。膝を開いて、その膝の中に箱状の胴体を沈めます。あごは引くか突き出すか、いづれかです。そけい部がつぶれているのをお楽しみください。下丹田(通常の丹田)を締め、上丹田(アナハタチャクラ)を開くような感じです。
 
  ところでヨガアサナの時に感じる痛みについて考えます。
本当に切れそうな痛みですが、切れた人はいますか? 私自身は切れたことはありませんが、切れたと言ってきた人は2人くらいました。でもそれは、毛細血管が切れて腿まわりが黒くなった程度(軽く扱って、不謹慎な言葉ですみません)で筋肉が切れたというのではありません。肉離れはスポーツ界でたくさんあります。でもこれは質が違うみたいです。
筋伸展の痛さの感受性は人によって大きな差があるようです。鈍感な人、敏感な人といった具合です。お相撲さんの新入りに対して、力づくで伸ばす、股割りというのがあるそうです。硬いとかえって怪我するからです。私たちはそんな恐ろしいことはできませんが、お相撲さんで腿裏の筋肉が切れて再起不能になった人いるのでしょうか。そのくらい、切れることはないと思っています。

それでは痛さを克服する方法を以下に書いてみます。
痛さは体にとってケガでも病気でもストレッチでも、本当につらいものです。自信や尊厳をなくしてしまいます。原因がわからなければなおさらです。
痛いというのは本能的に防御体制を作ってしまいます。いやだからです。だから我慢する、そして力を入れるのでしょう。長座前屈のときにここが伸びない人は、腿裏が猛烈に痛くて大変です。無意識に力を入れているのでしょう。
要は考え方。痛くてどうにもならないのだったら切ってしまえばいいのです。我慢などしないでね。「切る」というのは分離で離れていく、気持ちのいい状況です。お産だって赤ちゃんとの分離なのだから快感だと言う人もいます。(快便も。)腿裏を実際に切るのではなく、イメージの世界です。イヤだと思うから抵抗するのであって、切れれば、伸びて動きやすくなるのです。そんなイメージ練習しているとこの痛さも捨てがたいものです。
なにしろ前屈をして腿裏が切れて歩けなくなったという人は、今のところ私は聞いたことがありませんので、ひとつ前例を作ってください。
(2005-10-17)


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