生命力強化法3(学び続けること)

 今回は学び続けることの大切さである。これは書物などの狭いことではない。好奇心と言ってもよい、それが学びにつながり脳や身体を生き生きさせてくれる。

 人は最大で115〜120年も生きることができるそうだ。これは進化の過程で遺伝子的に決まったもので、最近の平均寿命の長さとは関係がないということだ。ほかの動物と違って子育てが終わってから人間だけが孫やひ孫が見れるように長寿なのはどうしてだろうか。それは脳が発達していくために人間は成長期、そして生きていくために親の知識だけでなく長く生きてきた経験者の知識が必要だった。成長期の教育の大切さはインドで狼に育てられた狼少女アマラとカマラの話しが有名である。彼女達は人間社会に復帰後も知能も身体も発達せずまた短命であった。

 現在の人類の身体機能は3〜5万年まえからほとんど変っていない。そしてその脳は狩猟採集の社会を経て今に至っている。その狩猟採集の社会では教育は大家族の集団の密接な人間関係と自然の中で行われていた。これが営々と続いてきた。それが各世代(子供も親も祖父母)が困難な時代を生きるために不可欠な生き方であった。

 ところが今、現代社会はたった100年くらい前から大きく数万年の歴史を変えようとしている。社会環境に恵まれるようになると家族集団は消え失せ、核家族が進んだ。そしてこの数万年間、体に入れたことのない化学物質が食事や薬で入り込み、頭脳構造も社会環境の激変、すなわちテレビゲ−ム、コンピューターなどの普及で変ってしまった。そして幸か不幸か安易な生活環境の中で生きる知恵も、工夫する楽しみも、学ぶ必要性も少なくなってきた。生活習慣病のまん延、自閉症など過去になかった病気も出てきている。人間の遺伝子が今変わりつつあると警告さえしている。

今、人間としての本能を再度復活したいものである。脳を発達させていくこと、学ぶことが本能であり、好奇心を持ち続けこと、学び続けることが生命力強化なのだ。 老いも若きも人間としての本能である好奇心を持っている。これが失せることで生命力は低下し、高揚することで長寿になっていく。高齢でバイタリティある政治家が然りであり、そしてかってのきんさん、ぎんさんを見てもマスコミに登場することで突然と元気を盛り返したそうだ。

 最後に、学ぶこと、好奇心については体の動かし方も同じだ。無意識に動かしたりしないで工夫が必要だ。体にいいからといってウォ−キングや、体操するだけでは逆に体に良くない。そんなときの動作は体に負担を強いて膝を痛め、足首、腰を痛めるだけだ。正しいやり方は過ぎることでますます発達し、その逆は故障を生み出す。体に対する好奇心、動きに対する興味をヨガの時間にぜひ持っていただきたい。どうしたら気持ちのいい動きになるかそれはその人の学びの態度であり、生活力でもある。(参考:ヒトはなぜ長生きなのか朝日新聞7/15夕刊)
(2002-07-28)

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