瞑想シリーズ2
 プレクシャメディテーション
(この瞑想はジャイナ教のナットマルタチヤ博士の指導書をまとめました。ジャイナ教は仏教と同じく頃にインドに生まれたアヒムサを厳格に守る宗教でその教徒は白いマスクと箒(ほうき)を持って虫を殺さぬ姿は写真などで見ることができます。ジャイナ教やこの瞑想について詳しいことは「ジャイナ教の瞑想法」に詳しく出ています。)

この瞑想はあるがままになる練習です。ただ自分の中に起こってくる感覚を見る練習です。プレクシャとは知覚、純粋、観察という意味です。メディテーションは心を静かに穏やかに保っておくこと、背骨、頭は一直線にしておくことです。
(座禅・瞑想の基本は姿勢です。無念無想の集中力が理想ということですがはじめは心を穏やかにして自分の中に沸いてくる思いや感覚を流していくことに集中するといいでしょう。)

自分が宇宙の中にいる実感を得る練習をしましょう。5分間、自然呼吸をします。その時自分の目に意識を集中し、目そのものを感じます。目に流れているエネルギーを感じます。その状態を続けると宇宙と自分が一体になります。この目的は自分の利己を取り除き、宇宙の心、個人と世界の幸せです。これをリチャーラといいます。
(インド哲学の基本は梵我一如(ぼんがいちにょ)です。梵は宇宙で生かす力のことをいい、我は自分で生きる力のことをいいます。大きな力の中で生かされていることに実感する練習です。)

自分のからだが部分毎にリラックスしていくのを感じます。それは心と身体を放していくことで完全なリラックスは完全な分離を意味しています。右足の指一つ一つ、足裏、かかとがリラックス。足首から腿、尻にかけて右足全体がリラックス。同じように左足がリラックス。右手の親指から順に一本づつリラックス、手首、ひじ、腕、肩、首の右側がリラックス。同様に左側がリラックス。背中、胸、腹がリラックス。後頭部から頭全体、顔全体がリラックス。体を完全にリラックスさせ、心-意識だけが残っているのを感じます。そしてゆっくり2、3回深呼吸。これをカヤ・ウサガといいます。
(リラックスの基本です。自律訓練法でもこの練習をします。リラックスしたからだは存在を感じません。心から分離している状態です。)

意識を背骨の中、神経の中心点に沿って上下させます。息を吸いながら意識を上から下へ。吐きながら下から上へ。尾骨から頭頂へ留めないで移動させます。チャクラ(ケンドラ)点を意識します。3分間行います。そして2、3回深呼吸。これをインターナルトリップといいます。
(ヨガの解剖学では背骨の中にスシュームナーというエネルギーの通り道があるとされています。そのエネルギーの流れを意識する練習です。最近の手技療法で頭蓋仙骨療法という脳脊髄液の律動をコントロールする療法も少しは似ています。)

呼吸とともに体内のバイブレーションを感じます。このとき息を吸うときに身体が重いバイブレーションを感じます。息を吐くときは完全に吐ききります。このとき体が柔らかく軽くなっていくバイブレーションを感じます。 呼吸と一緒に意識を体内に移動させてバイブレーションを感じながら呼吸に集中します。約5分間続けます。これをシュアサ・プレクシャといいます。
(息を吸う時にはプラナの重さを感じ、吐く時は出て行くことで軽さを感じることになります。またバイブレーションという感覚はエネルギーだと感じてもよく暖かさであったりします。現代生理学でも熱の発生は筋収縮のバイブレーションなのですから昔の人の感覚の鋭さは驚きです。)

すべての臓器、器官に一つづつ意識を集中し、そのバイブレーションを感じます。脳、目、耳、鼻、舌、顔全体のバイブレーションであったり、波動であったりを感じます。のど、両肩、両腕、内臓そして尻、ひざ、足首、足うら、指のバイブレーション、そして下半身のバイブレーションを感じます。 そして体全体を一つにした、互いに関係しあいながらバイブレーションを起こしています。肺や胃、肝臓、腎臓、腸のバイブレーションも感じましょう。約5分間続けます。これをカヤ・プレクシャといいます。
(プラナの吸入で全細胞は活きつづけ、器官などおのおの独特のバイブレーションが発生しているといわれています。プラナは外界からの強力な生命活動を感受し、自ら強力な波動をもって各器官をバイブレートしているのです。呼吸だけでなく全身がプラナに満たされ、そのエネルギーで励起バイブレーションしていると考えます。)

潜在意識の中心点であるチャクラに意識を集中します。それぞれのチャクラに30秒意識を留めます。そこに起こってくるバイブレーションを感じます。その時、チャクラのエネルギーが活発に動いています。背骨の最下部、背骨の最下部とへその高さの背骨の中間部、へその裏にある背骨の位置、心臓の高にある背骨、のどの後ろにある背骨、両まゆの間、額の中心、頭頂部にすこしづつ意識を送り、心を静めます。約3分間です。これをケンドラ・プレクシャといいます。
(チャクラという部位は現代科学では説明できない部分です。7つ、または8つの神経中枢、エネルギー体がありこれをチャクラまたはケンドラといいます。それには働きと色彩があり、文献によって少しづつ異なります。「下からムーラダーラ、スワディスタナ、マニプラ、アナハタ、ヴィシュダ、アジナ、サハスララ」という呼び名がついています。ここではジャイナ教教本のとおりにします。それぞれアサナを作る上でもこの点を意識したりすると体が安定します。このチャクラの点は現代のホルモン腺の位置に一致していることはまた驚きです。私のヨガ教室ではこのような呼び名や説明を加えることはありません。丹田などと意識点としての説明はします。私の師が素人判断で言葉遊びをするなときつく戒めました。師は丹田と仏性という言葉が好きでした。)

意識をチャクラに集中し、そのチャクラ特有の色を想像します。そしてその色がその点から出入りして自分の内も外もその一色になるのを感じます。 心臓の高さの喜びの中心点を緑、のどの後ろの純粋の点を青、両まゆの間の悟りの点を赤、額の中心の光の点を白、頭頂部の知恵の点を黄色です。それぞれの点に意識をおいているときその色一色にするのです。これをレッシャー・メディテーションといいます。
ここでプレクシャメディテーションは終わりです。

(最後にヨガは健康体だけでなく霊性開発の手段でもあり、人として能力卓越し病気もない完全体を作り出すものと言われています。現代の常識から言えばオカルトに聞こえるようなことも文献や著書に見られます。心臓の鼓動を止めたり、土の中で1週間死体になってそれから生き返ったりがあります。比叡山の千日回峰の最後の堂入りも9日間の不眠断水の死を決する修行も同様でしょう。それには見よう見真似の世界でなく、霊的な環境や卓越した師、そして長い年月の修行から得られるものです。
少し長い文章ですが「クンダリニー」について書いてありますので引用します。〔出典:ヨガ行法中伝 関口野薔薇著 人体の体内には、クンダリニーと称する隠れたる力が存在する。それは偉大なる能力を持った生命力である。この力は各自の脊柱の下部に「眠れる力」として内在するが、これを正しく目覚めさせると、それは無限の生命力ともなり、また無限の智恵ともなって現れるのである。だが、クンダリニーを間違って目覚めさせると、それは恐ろしい破壊力となって現われ、他人を傷つけると同時に、自分の一生をも破滅に導く結果となるのである。それ故、ヨガの大師はクンダリニーを呼び覚ます方法をば、「秘伝中の秘伝」としてその愛弟子のみに教え、決して之を一般人に公開しないのである。このクンダリニーの力は、常に多少目覚めていて、誰人の生活にも役立って居るが、それは極めて僅少量に過ぎないのである。この力が一定の道を通って昇降する時、それは人体内に備えられたる宿場、すなわちシャクラという部位に滞留して、その宿場で、それぞれの仕事を営むものである。〕 以上の文献を読んだときこのプレクシャメディテーションの緩やかで穏やかな「あるがまま」になる練習、ヨガの霊的な訓練法の一部が紹介されているような気がします。)


(2004-12-08)


homeへ