生命即神 2
自然の脅威の中であらゆるものが死滅、絶滅した。そして役に立たないものだけがなぜか生き延びた。あるものは環境に順応した。そして恵まれた自然に包まれて生きてきた。それが今、私たちが目にする動物や植物である。

生命は偶然と環境に適応していく能力が重なって進化をとげていった。海から淡水、又背骨をもって又海へ。そして陸上へ。空へ。それは哺乳動物になってからも、またヒトの発生にも同じことが言える。環境に適応できるように準備をし、あるとき奇跡が起き、天変地変で能力を開花していった。そしヒトの歴史には体の機能向上でなく、脳、神経系の変化で生態系の頂点だけでなく、地球環境をも変えてしまう能力がついてしまった。そんな猿からヒトに分かれた歴史を見て、生命力のすばらしさを確認しよう。

アフリカの造山活動(700万年前)で森が消滅した。それまでは類人猿(チンパンジーと人間の祖先)は森という食べ物の宝庫という楽園で何不自由なく暮らしていた。木にぶら下がり背骨を立てることに慣れた生活していた。大型であるために時には少しだけ歩行はするがほとんど樹に依存をしていた彼ら。地上の異変で一瞬にして森をなくした。彼らは草原で食料を探すため、二本足で歩く必要があった。二本足は不自由だがなんとか可能にしていった。
  そして320万年前、アファール原人が両足で歩行した化石が残っている。彼らは立つことで手が自由になった。そして手の親指が発達し、物を工作する事が出来るようになった。その結果、脳が発達した。そして直立姿勢でのどの構造が変わり、声帯が発達して声をだすことが出来、情報交換できるようになった。そして集団で狩をする事が出来るようになった。もはや彼らは肉食獣のえさではなくなっていった。このようになっていくのは数十万年から百万年の時間を経ている。二本足で行動できることが次々と身体能力を高めていった。そしてヒトらしくなった。
  4万年前になるとヒトになって活動範囲が広がっていき、地球は徐々に温暖化に向かい人口が増えてきた。狩をするために、食料を確保するために地球のあらゆるところに移住していった。それは家族を養うためにである。そして彼らは家族、部族を作り自分たちを守った。それは一人であることの不安をなくし、生きる力を得るためである。家族は生きるために、そして互いに信頼を得るために彼らは愛を分かち合った。ヒトはもうサルではなくなった。彼らは世界中に広がり、アラスカにも氷河で陸続きのために容易に移住が出来た。そして数百年で南アメリカの最先端に達した。
  地球の温暖化が進み北米の氷河が消えるとその大量の水は五大湖周辺の河に注ぎ込んだ。そしてそれが海に達すると海の温度がさがって再び氷河期のような気温の低下がおき、それは1000年近く続いた。1万1000年ころである。デリケートな地球環境は氷河が溶けるだけで地上の生物に大きな被害を与える。大型の動物はこの気候の変化で激減し、ヒトもかなり減少した。

そうした気温の変化が食糧事情を変えた。大型の動物が減少することで狩猟生活が成り立たなくなった。そこでヒトは森の中で小麦という穀物を栽培した。豆を植えることで収穫が増えることも知った。農機具や土器も開発された。そして1万年前の農耕時代に入ると安定した食物の確保で狩猟時代から格別に安定した生活が保障されるようになった。人口も爆発的に増えた。リーダーも現れた。経済活動も生じる。そして5000年前から世界各地で都市国家(エジプト、メソポタミア、インド、黄河流域)が出現するようになった。心の安定を模索するヨガが現れたのは4000年位前のインドであった。

猿のいるアフリカで造山活動で地変があったからこそ、猿は過酷な環境を克服しなければならなかった。その結果の二足歩行であるが、もしそこに森が消えなかったら私たちヒトは現代のような繁栄を迎えただろうか。まだ森の中で樹にぶら下がっていたかもしれない。禍を福とする力は自らの中に存在するのだ。過去にご先祖様がそのようにしてきた。その末裔が私たちである。

ヨガは「生命即神」を標語にしている。命の働きは膨大な遺伝子に刻まれた過去からの贈り物である。私たちは授かった命を大切にすること、そして可能性ある命の働きを十分に使い切ることである。私たち生きるために生まれてきたのであり、生きることが目的であり、意味であり価値であり使命であることに気づくことである。

宗教心体得の誓い
宗教とは一番大切な教えのことであります。私たちにとって一番大切なことそれは生きることであります。生命すなわち神を大切にすることであります。私たちは生きるために生まれてきたのであります。生きることが目的であり意味であり価値であり使命であることに気づかせていただきました。宗教心とは最上の生き方の工夫と努力をすることであることを自覚させていただきました。ただ今からの私はあらゆることを通じて正しい生き方の工夫と実行をさせていただきます。(沖ヨガ修道場生活行持集から抜粋)

「生命の歴史-生命即神」も参照
参考「生命40億年はるかな旅」日本放送出版協会 沖ヨガ修道場生活行持集

(2005-08-06)


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